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 板倉の家(落し壁工法) 

「板倉の家」ってどんな家?
皆さんは、学校の歴史の授業で「正倉院の校倉(あぜくら)造り」を習った記憶があるのではないでしょうか?
三角形の断面を持つ木を組み合わせて、四季による木の伸び縮みで換気ができるという優れものです。

 校木(あぜき)とは横架材(いわゆる構造を構成する横方向の部材)の意味で、これを井桁に積み重ねて造ったものが一般に校倉造りと呼ばれるものです。
「倉」とつくのは基本的に倉庫の用途適した工法だからと思われます。
ですから、校木の材料が丸太であればログハウスということになります。

 又、この工法を民家として生かしている地域も岐阜県飛騨地方、埼玉県秩父地方、群馬県奥利根地方から会津盆地など中部山岳地帯から関東山地、東北地方にかけて広い地域にわたって散見されるそうです。

間単にいうと、校木を板状にしたものが「板倉の家」ということになり、厳密に言うと“井籠倉(せいろうぐら)”、“落とし板倉”、“はめ板倉”の三つに分かれるそうです。

今回の「板倉の家」は、この中の“落とし板倉”になり、木材は新月伐採の天竜杉を使用します。
それでは、簡単に今回の「板倉の家」の工程をご紹介します。    施工:河合工務店
 本来構造体として使用するのは、四寸角の柱材と、厚さ3cmで幅135mmの板材のみで構成するのが理想といわれています。

 間取りなどで、それだけでは構造上難しい部分もあるので、今回は梁にちょっと大きな材料も使用します。
 壁に板を落とし込むので、土台、柱、梁などの板を落としこむ部分に深さ15mmの溝を彫り込みます。

 この溝彫りは工場で行います。
 溝に板を落としこんで壁を作っていきます。
2m70cmの高さを造るとすると、1枚が135mmですから20枚の板が必要になります。
 床も厚さ3cmの板を敷きますので、床下地(大引き)を91cm(3尺)ピッチに配置します。

一般構造の床組みの場合フローリングの厚さが12mmなので、この上に根太として45mmの角材を直行方向に30cmピッチで配置しますが、板倉の場合は板厚でその下地の強度を確保しています。
 梁にも溝が彫ってあり、梁を伏せると壁面が完成します。
厚さ3cmの床板を張り床も完成です。

 屋根下地の垂木にも四寸角の材料を使用します。
床と同じく、91cmピッチに配置します。

一般構造の場合、45mm角や45x60mm角の材料を使用しますが、板倉の場合はこの材料が四寸角なので、軒先が大きく造ることが可能です。
 屋根材の下地である野地板にも厚さ3cmの床を張ります。
この上に屋根葺き材の瓦を載せて行きます。
 参考文献によれば本来はこの状態で外壁を漆喰などで仕上げを施して完成とし、板厚で断熱を確保しているが足りない部分は薪ストーブなどを使用して暖をとるのが理想とされています。

 ただ、材料が天然木であるためにどうしても板材が縮むとそこから隙間風が入ってきたり、天井を張らないために天井面の断熱ができなかったり、床も同様に板のみでは冬場に底冷えしたりすることが考えられます。
又、街中では防火制限などがかかってきますので、そのあたりを考慮すると床や屋根を2重にしたり、防火外壁材を張って板壁との間に断熱材を充填したりと様々な工夫が必要となってきます。
最近は電気配線も多く、基本的にこの構造では配線は表しになってしまいますので、そのあたりの工夫も必要です。

 いろいろな条件を加味してゆくと、外観はさほど木を強調することはできないと思われますが、内部に入ると木に囲まれた重厚な空間が現れるという住いになります。
参考文献
最後になりますが、お忙しい中、建方を見学させていただきました「こころ現代民家研究所」やましたしんいち様に感謝いたします。